半導体は、スマートフォン、パソコン、自動車、家電から、ビッグデータ時代を支えるデータセンター、各種ロボットなど、
生活を支えるあらゆるものに組み込まれ、制御をする頭脳の役割を果たしています。
エレクトロニクス製品が誤作動を起こすことなく安全に使用できるのは、世の中に出回る半導体が、
製造工程の最後に行われる検査で合格した製品のみだからです。
日本マイクロニクスは、こうした半導体製造工程で使用される検査機器を提供しています。
つまり、みなさんのスマートフォンにも日本マイクロニクスの検査技術が不可欠なのです。
半導体と
日本マイクロニクス
さまざまな分野で活躍する半導体の品質や性能、安全性を支えているのが、製造過程で実施する「検査」です。
日本マイクロニクスは、半導体の製造工程に使用する検査機器を、お客さまのニーズに合わせて提供しています。
検査に合格した半導体は、各エレクトロニクス製品に組み込まれていきます。
プローブカードと
ウェーハ検査
日本マイクロニクスの主力製品である
プローブカードについてご紹介します。
プローブカードは、半導体製造工程のウェーハ状態で電気的特性を検査する「ウェーハ検査」で使用される検査器具で、
配線基板とプローブ(接触針)から構成されます。
ウェーハ検査には、テスタ、ウェーハプローバ、プローブカードが必要となります。
プローブカードは、テスタと接続したウェーハプローバのテスタヘッドに装着してウェーハにコンタクト(接触)します。
ウェーハ検査に必要なもの
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1
プローブカード:ウェーハにコンタクトし、テスタからの信号をウェーハに伝送する検査器具
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2
テスタ:半導体デバイスの良否判定を行う装置
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3
ウェーハプローバ:ウェーハを搬送する装置
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4
ウェーハ:シリコンを円盤状に薄くスライスし、半導体チップを形成したもの
プローブカードの役割
プローブカードは電気信号を通す配線基板とその上に組み立てられたプローブから構成されています。
それらプローブの1本1本が、ウェーハ上に複数形成されたチップの非常に小さなパッド(電極)にコンタクトし、テスタからの電気信号を伝えます。
テスタから送られた電気信号は、半導体デバイスに形成された回路を通り、再度プローブを通ってテスタに送られます。テスタは、期待通りの電気信号が返ってくるかどうかで、半導体デバイスが設計通りにできているか、途中に断線がないかなど、半導体デバイスの良否判定を行います。
ウェーハ検査工程で良品と判断されたチップだけが、次の工程に進みます。
全てがカスタマイズ品
プローブカードは、検査対象のウェーハに合わせ全てオーダーメイドで設計・製造されます。
そのため、新たな半導体が開発されると、その都度プローブカードが必要となります。
さらに、チップ上に複数形成された極小のパッドへ正確に、均一にプローブをコンタクトさせるためには、
高度な設計・製造の技術が必要とされます。
エレクトロニクス製品が高機能化しているということは、半導体も高性能になり、検査するプローブカードに
求められる品質や検査の難易度も高くなっていることを意味するのです。
プローブカードの
サイズ感をたとえると
プローブカードが電極に接触する精度を、野球場に置かれた切手に例えてみましょう。
直径30cmのウェーハが野球場だとすると、ウェーハ上のパッド(電極)は切手サイズ程の大きさです。
プローブカードがウェーハ上の電極にコンタクトするということは、野球場に整然と並べられた十数万枚の切手全てに、
プローブを一括で正確に接触させるようなものです(下図参照)。
このようにプローブカードは、非常に高い精度が要求され、超微細な構造を持つ検査器具なのです。
ウェーハ検査に対するニーズは年々難易度が上がり、電極のサイズは更に小さく、数はより多くなっていますが、
日本マイクロニクスは、そうしたニーズに応える製品をつくり続けることで、半導体の進化を支えています。
プローブカードを支える技術
当社プローブカードの中で最も売上構成比率が高いプローブカード「U-Probe」を例に、プローブカードを支える技術をご紹介します。
U-Probeとは
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MEMS技術でつくられた
プローブを使用した
プローブカード -
日本マイクロニクスの
最先端の技術を結集した製品 -
半導体メモリデバイス向け
プローブカードの
世界シェア
No.1
U-Probeは、1枚のウェーハに対しプローブカードを複数回コンタクトしていた従来の検査を
世界で初めて1回のコンタクトで検査ができるようにした画期的なプローブカードです。
こうした効率的な検査環境を提供することで、当社は半導体デバイスメーカーのコスト削減にも貢献してきました。
また、半導体需要の高まりにも迅速に対応できるよう、プローブカードの生産能力を高め、社会へ安定的に
半導体が供給されるよう、取り組んでいます。
U-Probeを支える技術
マイクロカンチレバー
U-Probeの中央、直径300㎜のコンタクトエリアには、接触子である超微細なプローブ「マイクロカンチレバー」が組み立てられています。プローブの配置は、 検査対象のウェーハ上の電極に正確に接触するよう設計され、プローブとプローブの間隔は、髪の毛の太さよりも狭く、密集しています。「マイクロカンチレバー」は、MEMS*技術を用いて内製しています。更に、薄膜多層配線基板上へのマイクロカンチレバー組立ては、内製装置により自動化しています。
※MEMS:微小電気機械システム
薄膜多層配線基板
当社は、薄膜多層配線技術を応用し、セラミック薄膜多層配線基板を自社で内製することに成功し、開発困難と言われた300㎜ウェーハの一括検査を可能にしました。薄膜多層配線基板とは、セラミックの耐熱性に優れ、強度が高い特性と、薄膜多層配線の電気信号を高速で正確に伝える高い伝送能力を兼ね備えたプローブカードの最重要部材の一つです。